こんにちは。広島市で弁護士をしている井上です。
一時期と比べると件数は減っていますが、いまだに破産や借金問題で苦しんでいる方からの相談は絶えません。
借金問題で来所される方は、本当に大きなストレスを抱えて事務所までいらっしゃいます。
「毎日銀行から電話がかかってくるけど,出ていない。」
「頻繁に業者から手紙が来る」
このような状況で、憔悴して弁護士事務所に来られる方は多いです。
そこでひとつの解決策として私が提案するのが「自己破産」です。
(ただ、任意整理、個人再生といった債務整理の方法もありますので、どの方法がベストかは弁護士にご相談ください。)
弁護士に破産手続きを依頼した場合、まず弁護士から「受任通知」が送付されます。
この「受任通知」が送付されると、貸金業者からの取り立てはストップします。
「受任通知」の送付以降は返済をする必要がなくなりますし、逆に返済をしてはいけません。
破産する方にとっては、これで一息つくことができますよね。
その間に、弁護士費用等を積み立てることも可能です。
この記事では,破産を必要以上に恐れないでほしいこと、破産についての誤解、破産手続きの流れなどについてご説明したいと思います。
自己破産とは?
自己破産とは、裁判所へ破産の申し立てを行い、支払うことのできなくなった債務(借金)を免除してもらうための制度です。
必ず裁判所へ申し立てをしなければならないという点で任意整理などの簡易な手続きとの違いがあります。
以下のような場合に、借金をリセットして生活をやり直すことができます。
- 貸金業者等からの借り入れへの返済額が、毎月支払いすることの可能な額を超えている場合
- 今後の返済を続けていくことができなくなった場合
自己破産のデメリット
破産の主なデメリットはこのようなものです。
- 99万円を超える財産は、破産管財人に渡すこととなり,最終的には債権者に配当されます。
(ただ,破産をされる方の多くは99万円を超える財産を持っていることはありません。) - 免責の手続が終わるまで、警備員、建設業者、質屋、生命保険募集人、損害保険代理店、宅地建物取引業者等の仕事をすることができなくなります。
(免責の手続きが終わるまでであり,ずっとできなくなるわけではありません。)。 - おおむね5年〜10年程度の間、借金やクレジットの利用ができなくなります。
- 免責が確定するまで、引越や長期の旅行をするには裁判所の許可が必要となります(管財事件の場合)
- 破産手続のあったことが官報に掲載されます。
よくある誤解
- 破産をすると選挙権がなくなる?
- 破産をすると戸籍に記載される?
- 破産をすると家財道具も取り上げられてしまう?
これらは全て誤解です!
破産することについて、必要以上に恐れる必要はありません。
「自己破産をするにも関わらず、財産を残すことができるの?」と疑問に思われた方もいると思います。
法律上は、99万円までの金銭は残すことができるとされています。
実際の破産手続では、銀行預金や保険の解約返戻金、自動車等の評価額の合計が99万円までであれば、破産をしても財産を残すことができます。
(破産される方の事情によっては、99万円を超える額の財産を残せる場合もあります。)
自己破産ができる人はこんな人
多額の借金により返済が不可能になった状態の方は、破産手続きを利用することができます。
仮に,借金が100万円だとしても、その人の収入状況によっては破産することは可能です。
資産が1000万円あるような方でも、借金が1億円あって今後の返済ができないような状況であれば破産をすることができます。
自己破産にかかる費用と期間
では破産には、どれぐらいの費用や期間がかかるのでしょうか?
それは、破産手続の中で破産管財人が就くかどうかで変わってきます。
破産管財人が就くケースを「同時廃止事件」、就かないケースを「管財事件」と呼びます。
「同時廃止事件」の場合
破産する人に資産がないような場合は,破産管財人が就かず,費用も比較的かかりません。
この「同時廃止事件」であれば,破産の費用は弁護士に払う着手金と,おおむね2万円程度の実費で済むこととなります。
依頼から免責決定までにかかる期間は、半年程度となることが多いです。
「管財事件」の場合
破産する人に資産がある場合は、破産管財人が就き「管財事件」となります。
(※広島地裁の運用では、個人事業主、法人の代表者であった方は原則として破産管財人が就くことになります。)
「管財事件」となった場合は、通常20万円以上の予納金を裁判所に納めることが必要になります。
依頼から免責決定までにかかる期間は,早くて半年程度、場合によっては1年以上かかることもあります。
広島地方裁判所の運用ですと、以下の場合に管財事件となります。
・50万円以上の現金、預金がある場合
・不動産を持っているとき
・20万円以上の価値がある個別財産があるとき
(預金、自動車、保険など。退職金は、支給見込額の1/8が基準とされます。)
手続きが完了するまでの具体的な流れ
「同時廃止事件」の場合の具体的な流れは以下の通りです。
(「管財事件」の場合は、ケースバイケースのため割愛します。)
弁護士に依頼
↓
受任通知の送付(取り立てのストップ)
↓
裁判所への申し立て資料の作成
↓
裁判所へ申し立て
↓
裁判所による破産手続開始決定
↓
裁判所による免責の決定
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「免責」とは?
破産の申立をして、裁判所で破産の手続が始まっただけでは借金はなくなりません。
破産手続の最終段階で、裁判官が免責の許可をすることによって借金を支払う必要がなくなります。
たとえば以下のような場合には、免責ができない場合があります。
- ギャンブルで多額の借金を作ってすぐに破産の申し立てをしたような場合
- 財産を隠して破産手続をした場合
- 破産することが分かっていたのに,嘘をついて借り入れをしたような場合
ただし,ギャンブルをしていたからといって、常に免責できないというわけではありません。
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まとめ
借金の問題はなかなか人に相談することが難しいですし、金策に追われている時はあっという間に時間が経ってしまいます。
しかし、解決を引き伸ばせば伸ばすほど、状況は悪化することが多いです。
破産を依頼するために法律事務所を訪ねた方が、実は多額の過払い金があったことが判明し、破産をせずにすみ、さらに多額のお金が帰ってきたというケースもあります。
破産することのデメリットは,一般の方が想像するほど多くはありません。
私は弁護士として、借金でお困りの方が、大変な生活からできるだけ早くスムーズに抜け出せるようお手伝いをしていきたいと考えています。
この記事が,少しでも借金問題でお困りの方の役に立てれば幸いです。
広島市の井上法律事務所では随時相談を受け付けています。
電話番号
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一人で悩んでいて前に進めないという方は,ぜひご相談ください。