コロナ禍が終わってから、借金の問題で相談にいらっしゃる方がとても増えています。
この記事では、破産より簡易な手続で借金を整理することのできる、任意整理についてご説明したいと思います。

任意整理とは?

任意整理とは、借金問題を解決するための方法の一つで借金の返済条件を見直すために債権者と交渉する手続きです。
弁護士が依頼者の代理人となり、利息・遅延損害金のカット・返済期間の延長などを交渉し返済しやすい条件に変更します。
裁判所を介さずに行われるため、破産などの手続きと比べて比較的簡便でスピーディーな解決策とされています。

任意整理のメリットとデメリット

メリット

①利息や遅延損害金の減免可能
元本のみの返済にできる場合があります。
将来利息をカットするので、ほとんどのケースで返済額が大幅に下がります。

②手続きが比較的簡便
裁判所を介さないため、時間と費用が抑えられます。

デメリット

①信用情報に登録される
任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報として登録され、5~7年間は新たな借り入れやクレジットカードの発行が難しくなります。

②一部の貸金業者が交渉に応じない可能性
全ての貸金業者が協力的であるとは限りませんので、一部の貸金業者が分割返済に応じないことがあります。

任意整理の進め方

1.相談・依頼
弁護士に相談し、任意整理の手続きを依頼します。
基本的に事務所に来ていただいて面談を行うことが必要になります。
面談を行わず任意整理を行う弁護士もいるようですが、弁護士会の定めているルールに違反しますので、そのような事務所に依頼することは避けた方が良いです。

2.受任通知の発送
弁護士が貸金業者に対して受任通知を送付し、返済や取り立てを一時停止させます。
貸金業者に受任通知が届くと、債務者への返済督促や取り立てがストップします。

3.債務の調査
借入先・借入額・利息などの詳細を調査し、貸金業者との交渉材料を揃えます。
貸金業者の回答期間は業者によって異なりますが、通常2週間〜2か月程度の時間がかかります。

4.交渉開始
弁護士が貸金業者と返済条件について交渉します。

5.和解成立
合意に達した場合、和解契約を締結します。

6.返済開始
新しい返済条件に基づき返済を開始します。

任意整理にかかる期間

任意整理の手続きは、依頼から和解成立まで通常2~4ヶ月程度かかります。
依頼から支払い開始までは通常3~6ヶ月程度です。
貸金業者との交渉がスムーズに進むかどうかで期間は変動します。

任意整理の返済期間について

貸金業者との交渉でよく問題になるのは、返済期間です。
通常は3〜5年の間での返済をすることになります。

返済期間を延ばすことができるほど、月々の返済額が減ることとなりますが、短期間での返済を求めてくる業者もあります。
ただ、借り入れをしている方の状況を説明して交渉すれば、5年以上の期間で合意できる場合も少なくありません。

任意整理にかかる費用

任意整理の費用は依頼する弁護士や司法書士の報酬基準によりますが、通常は1社あたり3~5万円程度が相場です。その他に実費や手数料が発生する場合もあります。

なお、弊所では1社あたり3万3000円の弁護士報酬と、ご依頼時に2万2000円の事務手数料(郵便代等の実費に充てさせていただきます)をいただいております。

依頼時に、任意整理にかかる弁護士報酬がいくらなのか聞いておくことが大切です。

任意整理後の生活

任意整理後は、利息の負担が軽減されるため計画的な返済が可能になります。
しかし、信用情報への登録があることで新たな借り入れが制限されますので、無理のない範囲で生活設計を立てることが重要です。

任意整理を依頼する専門家の選び方

とても残念なことですが、破産した方がよいと思われる方に対して、任意整理を勧めた上で極めて高額な報酬を請求するといった悪質な業者も最近は見られます。悪質な業者だけは絶対に避けることが重要です。
「減額診断」「国が認めた借金救済制度」といったキャッチフレーズを用いてSNSで広告している業者は避けた方が無難です。

毎月の返済が難しくなったときに、破産手続をするか、任意整理をするか、他の手続(個人再生等)をとるかは、判断が難しいものですので、お困りの方は早めに弁護士に相談することをお勧めします。

任意整理に関するQ&A

任意整理をしたことが家族にバレますか?
基本的にはバレませんし、家族の方に分からないように任意整理の手続を進めることは可能です。ただ、任意整理をすることによって家計を改善するのが目的ですので、家計を共にしている配偶者の方などとは、相談した上で任意整理することをお勧めしています。
任意整理をした後、クレジットカードは利用できますか?
信用情報機関に事故情報として登録されるため、一定期間はクレジットカードの利用が難しくなります。
任意整理をした後、マイホームは購入できますか?ローンは組めますか?
クレジットカードの場合と同じように、一定期間は住宅ローンを組むことは難しくなります。
任意整理中に収入がアップしたら、返済額はどうなりますか?
一度合意した返済額は変わりません。ただ、繰り上げて支払うことは可能です。
任意整理中に引っ越しをする場合は、どうすればいいですか?
引っ越しすることを弁護士にお伝え下さい。新しい住所は貸金業者に通知することが多いです。
任意整理中に病気やケガをして働けなくなった場合は、どうすればいいですか?
状況を弁護士に相談した上で、返済計画の見直しや支払い猶予の交渉をすることは可能です。
ただ、全く支払えなくなったような場合には、破産手続も検討することになるでしょう。
任意整理を自分でやることはできますか?
可能ですし、一括で支払えるような場合であればご自身でやるようお勧めする場合もあります。
ただ、一度ご自身でやってみてうまくいかないのであれば、弁護士に依頼するほうが確実です。
任意整理をしたら、借金が全てなくなるのですか?
借金の元本は残り、利息や遅延損害金が減額・免除される場合が多いです。
任意整理は何回までできますか?
法的には回数に制限はありませんが、信用情報に大きな影響を与えるため、慎重に考えるべきです。

借金の問題はなかなか人に相談しにくいものですが、時間の経過とともに借入額や借入業者が増えてしまいがちですので、
お困りの方は、早めに相談して手続を進めることをお勧めしております。
 

この記事が、少しでも借金問題でお困りの方の役に立てれば幸いです。

 

 

 

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